半導体不足の話題が長く続いていますが、半導体の装置には石英ガラスというガラスが使われています。この記事では石英ガラスが一体どういったガラスなのかまとめてみました。
石英ガラスとは
石英ガラスとは、珪素を原料としたガラスの一種です。他のガラスはさまざまな成分からできているのに対して、石英ガラスはほぼ珪素のみからできています。 原料の珪素とはシリカとも呼ばれる物質のひとつで、水晶なども同じ成分からできており、加工することで透明度の高いガラスが作り出されます。
石英ガラスの種類
石英ガラスには大きく分けて2種類あります。
溶融石英
天然の石英を使用したものを溶融石英といいます。天然の石英(水晶)を溶融・製錬して製造されます。
合成石英
超高純度の四酸化珪素というものを原料として、化学的に合成したものを合成石英といいます。そのため、合成石英は溶融石英よりもさらに高純度といえます。溶融石英は99.9%以上の純度に対して、合成石英は99.99%以上とさらに高純度です。
※合成石英の中にもグレードがあり、均質性や光学透過性、エキシマ耐性などによって数多くの種類が存在します。
石英ガラスの特徴について
石英ガラスには大きく3つの特徴があります。
透過率が高い
SiO2からのみできていて不純物をほとんど含んでいないため透過率が高い。そのため、光もよく通し、目に見える可視光だけでなく、赤外線や紫外線も通すため光学用途にも使われる。
熱に強い
単純で強固な分子構造から熱変形を起こしづらいという性質から、軟化点が他のガラスと比べ1700℃と非常に高く、1000℃程度の高温まで使用することができる。また、熱膨張にも優れている。熱膨張に関してはこちらの記事に詳細を書いてあります。
薬品に侵されにくい
化学的に極めて安定であり、優れた耐薬性能を持っている。但しアルカリ性に関しては他のガラス同様で比較的侵食しやすい。
石英ガラスの用途について
先ほど上げた特性を生かし、光ファイバー、光学フィルター、実験用理化学機器、光学レンズ、焼却炉覗き窓など、あらゆる分野で石英ガラスは使用されております。
また、冒頭で話した半導体装置の部品にも使われています。半導体生産時には1000度近い温度で熱処理を行うのですが、その温度になると金属から破片が飛んでくるため、それらの不純物から半導体を守るために石英ガラスで作られたシリコンウエハーという丸い板で覆い守る役割として使われているのです。
まとめ
- 石英ガラスは珪素からなる透明度の高いガラス
- 高い透過率、可視光だけでなく紫外線や赤外線もよく通す
- 耐熱性が高く、熱膨張にも優れている
- 薬品に侵されにくい
- 特性を生かし様々な分野で実用されている
石英ガラスの物性に関しては製品カタログに記載してありますので、お手数ですが製品カタログページからダウンロードをお願いします。その他、石英ガラスの加工依頼、見積もり、質問等ありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。最後までご覧いただき、ありがとうございました。